生物科学専攻 森和俊教授が、平成30年度 文化功労者に選出されました。

 

森教授は、小胞体ストレス応答UPR(Unfolded Protein Response)を発見し、その分子機構を明らかにしました。それにより、タンパク質の構造異常が細胞にとって極めて重要な問題であることを浮かび上がらせ、細胞内小器官の小胞体が、「分泌系タンパク質が正常か異常かを区別し、異常なら様々な手段をもって対応する」ことを解明しました。

 

現在では、糖尿病やパーキンソン病、動脈硬化等の治療に役立つと期待されています。

   

 

文化功労者の選出を受けて、10月24日に本学において記者会見が開かれました。

 

記者会見の様子

森和俊教授(左)の研究功績について説明する理学研究科長・平野丈夫教授(右)

 

森教授は、研究を登山にたとえ、30年間登り続けてきた基礎研究が文化として認められたと、謝意を表しました。

 

大きな発展につながる基礎研究の重要性を述べ、広い視野を持って長い目で基礎研究を見てほしいと強調しました。

 

実験ではメダカ(淡水魚)を用い、メダカを用いるからこそできる小胞体ストレスの原因タンパク質の解明に加えて、病気の発症と小胞体ストレスとの因果関係を調べる研究を行っています。そうした研究が治療や創薬につながる可能性に期待がかかります。

 

次世代を育てるため、教育にも携わる森教授は、大学の教養教育と専門教育を行い、京都大学OCW(OPEN COURSE WARE:https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja)で理学部講義「細胞内情報発信学」の公開を行っています。

 

また、一般向け生命科学入門書「細胞の中の分子生物学」を講談社ブルーバックスから出版しています。

 

生物学は興味深く謎に包まれた分野でありながら志す学生が減少している現状をふまえ、森教授の講義、講演、受賞等を契機に生物学を目指す学生が増えてほしいと語りました。

 

また、博士課程大学院生のように、挑戦する人の背中を押すような世の中になってほしいと伝えました。

 

日頃、少年剣道にもかかわり、剣道を長年続けてきたからこそ、その教えにある平常心を保ち諦めない精神が培われ、今の研究の継続と発展につながっているとしました。

 

文化功労者の顕彰式は、11月5日(月)にあります。